日本茶の種類と製造

煎 茶

(1)普通煎茶
煎茶の製造技術、機械化は手揉み製法を基礎として発展、開発されてきた。
荒茶製造工程
1 蒸熱 ⇒ 2 粗揉 ⇒ 3 揉捻 ⇒ 4 中揉 ⇒ 5 精揉 ⇒ 6 乾燥
仕上茶製造工程
7 仕上乾燥 ⇒ 8 選別 ⇒ 9 合組 ⇒ 10 包装
1、蒸熱
蒸熱は茶葉の酵素を失活させることと、生葉中に含まれる青臭や悪臭を除去し、茶葉の柔軟性を増加させ、 以後の工程においての揉み作業を容易にすることなどがその役割である。
また蒸熱時間の短い若蒸しの場合は青臭や苦渋味の原因となり、蒸熱が長過ぎると苦渋味は薄れるが、香味に乏しく緑色が褪せたものとなる。
2、粗揉
粗揉は、茶葉を熱風の中で攪拌・揉圧し、これによって茶葉の水分を均一に効率よく蒸発させる工程である。
この揉圧による水分の放出とその水分の蒸発が均衡して乾燥される状態を恒率乾燥という。
風量が多すぎたり温度が高すぎたりすると、葉の表面が乾いてしまい(うわ乾き)、破砕されて粉ができる原因となる。
逆の場合は乾きが遅くなる。恒率乾燥が進むと、やがて茶温が上昇しこの状態を減率乾燥という。
粗揉工程は恒率乾燥から減率乾燥に移る時点を終了とする。
このときの含水率は乾量基準で100%程度である。
3、揉捻
揉捻は製造工程中で唯一熱を加えずに揉む工程である。茎や葉柄部分は葉部に比べて乾燥しにくいので、
それらを十分に揉んで水分を揉み出し、茶葉全体の水分を均一にすることと、形を整えることが目的である。
4、中揉
中揉では、茶葉を軽く揉みながら乾燥を進める。均一に水分を除去し茶葉を撚りながら細くする。
中揉機は回転乾燥機の一種で火炉(直火型が多い)本体から構成されている。
このときの含水率は乾量基準で32〜35%程度である。
5、精揉
精揉は針状に整形する工程で、手揉みの要素を取り入れた巧妙な動きをする精揉機は、煎茶製造の機械では唯一の熱伝導方式である。
揉盤上で揉み手の往復運動によって茶葉が圧迫され、これによって水分が押し出され乾燥が行われる。
乾燥が進むにつれて分銅によって揉み手の加重を増やし、最後には葉揃いと形状に丸みをつけるために分銅を元の位置に戻す。
このときの含水率は乾量基準で13%程度である。
6、乾燥
精揉を終えた茶葉は水分を含んでいるので含水率 5%程度に乾燥して貯蔵性を持たせる。
乾燥機は回分式棚方乾燥機と連続式送帯式乾燥機の2種に大別できる。
以上の工程を経て荒茶が完成する。
製茶歩留 : 使用した生葉量に対する荒茶量の比率。一番茶では21〜22%位である。
(2)深蒸し煎茶
昭和30年代に静岡県の牧之原台地で作られはじめたとされ、煎茶の苦渋味をおさえるために蒸し度を進めた製茶法で、 深蒸し煎茶の生産統計はないので、正確な生産量は不明であるが静岡県では煎茶生産量の6〜7割に達しているといわれている。
基本的な製茶工程は普通蒸しと変わらないが、蒸熱時間は茶葉の状態によっても異なるが、標準的な蒸熱時間の2〜3倍程度とる。
蒸熱工程では生葉処理量が半減するのでボイラーや蒸機の能力を大きくし、蒸し葉の形を残すため送帯式蒸機が使われることもある。
また蒸し露が多くつくため、加温空気を当てて表面水分を速やかに蒸発させる装置も開発されている。
粗揉工程では、葉打機−粗揉機と使用して効率よく乾燥する。
以後の工程は普通蒸しに準じるが、粉が多いので揉み不足や上乾きしないように注意することが必要となる。
※製品は一般に粉が多く、色沢は黄色みを帯び、香気は弱く緑色に濁った水色で、味は濃厚となるが苦渋味が弱くなっている。
(3)水出し煎茶の製造
夏期の消費を増やすため、冷水でも浸出しやすいように加工した茶である。
1 蒸熱 ⇒ 2 粗揉 ⇒ 3 揉捻 ⇒ 4 中揉 ⇒ 5 精揉 ⇒ 6 切断 ⇒ 7 乾燥 ⇒ 8 火入れ
若芽の蒸熱時間は180秒前後である。

玉 露

現在の玉露の主な産地は、福岡県八女市周辺、京都府宇治市とその周辺である。
玉露の製造は煎茶の場合に準ずるが、被覆栽培した原葉は柔らかく水分も普通の葉に比べて多いため、生葉の取扱いには細心の注意を要する。
○玉露、かぶせ茶の製造工程
1 蒸熱 ⇒ 2 粗揉 ⇒ 3 揉捻 ⇒ 4 中揉 ⇒ 5 精揉 ⇒ 6 乾燥
1、蒸熱
生葉の水分が多いため豊富な乾き蒸気を使用し、投入量は少なめにして短時間に蒸す。
葉質が薄く組織が軟弱であるので、葉を傷めない送帯式蒸機が適しているが、性能、能率などから胴回転攪拌式蒸機を使用することが多い。
送帯式蒸機の場合、コンベアに薄く均一に広げ蒸し時間は20秒程度、出開きの進んだ原葉を蒸すには胴回転式攪拌蒸機のほうが適している。
蒸し葉は急冷する。蒸し露が多いと蒸れたり色が悪くなりやすいため、露切を十分に行う。
2、粗揉
粗揉は揉み手のバネ圧を弱めにし、茶葉の温度は低めに換気を強くして色沢を落とさないように注意を払う。
粗揉の終わりは粘り気が少なくなり、鮮緑色の光沢を帯びて特有の芳香が出てきた時で、指頭で茶を強く押さえると汁液がわずかににじみ出る状態。
重量減は60%内外が適度で、所要時間は50〜60分。
3、揉捻
加圧は弱く、茶葉各部の水分むらを均一にするようにする。所要時間は10分。
4、中揉
茶温を上げすぎないように注意する。取り出しの目安は、茶葉が暗緑色になり弾力が出て、握って放すと塊が自然と解ける状態。
重量げんは70%程度で、所要時間は30分内外が多い。
5、精揉
精揉は形を整え光沢を出し、香味を発揚させるのに必要な工程である。
煎茶よりやや低温で圧力は徐々に加えて揉む。圧力が強すぎると形が偏平になり、芽先を痛め光沢が劣る原因となる。
茶が堅く丸よれとなり、光沢が出るようになってからしばらくした頃が取り出し適期である。
6、乾燥
精揉から出た茶葉は冷めるとよりが戻ったり縮むことがあるため、直ちに乾燥に移す。
煎茶より低温の60℃内外でやや時間をかけて行うのが一般的である。